絵本「やましたくんはしゃべらない」

場面緘黙-学校や職場などの、特定の場面・状況になると、話すことができなくなってしまう状態のこと

家などでは普通に話すことができるため、本人の性格によるものと誤解されがちですが、自分の意思で「話さない」のではなく、「話せない」のです。

場面緘黙の原因や発症メカニズムはまだよくわかっていないのですが、「不安になりやすい」「緊張しやすい」などの生物学的要因がベースにあって、そこに心理的要因や社会的要因、文化的要因などが複合的に影響していると考えられています。


さて、ステキな絵本と出会いました。

「やましたくんはしゃべらない」

クラスに、ちょっとかわった男の子がいる。

小学校に入学した時から、今まで一言もしゃべったことがないやましたくん。

その子の声を聞いた友だちは、誰ひとりいない。

しかし「しゃべらない子」やましたくんをありのままに受け入れている。

そんなやましたくんとクラス全体の温度感まで感じられる絵本です。

「しゃべれない」やましたくんを周囲は「ちょっとかわっている子」と認識しつつも特別扱いしない。先生も「そんなもんやな」と、無理やり「治そう」としない。

この本からインクルーシブな学びの場の理想を感じました。


原作者の山下賢二さんは、現在は京都で編集・企画・選本などの手掛ける「ホホホ座」を運営されています。「やましたくんはしゃべらない」は山下氏の小学生時代の経験を元に作られています。

山下さん本人と話をしましたが、幼稚園から小学校卒業まで学校では一言もしゃべらなかったのですが、中学校に入ってから普通に話すようになられたとのこと。


「やましたくんはしゃべらない」はなないろ学習塾の教室に置いてあります。興味のある方は手にとってみてください。


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